RPGの戦闘システムにおけるスキル(特技、術、魔法など)とアイテムコマンドの仕様は、ゲームによって違いがあるとはいえ、次のような仕様をとっているものが多い。
・スキルはキャラごとに覚えている個別のものを使う
・アイテムは全キャラが同じアイテムを共有して使う
RPGツクールの基本戦闘システムとかテイルズとかFFはこんな仕様だと思う。
が、これ冷静に考えると変。
スキルの、キャラによって使えるものが違う、ってのは何もおかしくないが、アイテムを共有して使うのはおかしい。
「全アイテムを入れた袋があるとして、皆でそれを回しあって使ってるの?」と脳内補間した場合、戦闘で忙しく動き回ってる人達が、アイテム袋を渡し合ってるという想像は、どこにそんな余裕があるのだ、とツッコミが入りそうだ。
これを、より現実らしくするならば、キャラクターごとに持ち物を設定して、その自分が持っている物の範囲でしかアイテムは使えない、とすることになろう。
が、これは不便だ。
回復アイテムを買ったのに、キャラAに持たせていると、キャラBは使えないというのはストレスが溜まる。
まあ、考えればすぐにわかることだが、ようは、こういうユーザーの心理を察したフィクションなんだろう。
正直な話、今自分が作ってるゲームでも、スキルはキャラによって違うが、アイテムは共有になっている。
しかし、ここで疑問となるのは、「スキルは個別でいいのに、アイテムが個別だとストレスになるのはなんでだ?」ということだ。
いや、アイテムも個別仕様にして、それでも面白いゲームはたくさんあるが、少なくともテイルズでアイテムが共有じゃなかったら腹が立つことこの上ない。後衛にはグミとかライフボトルいっぱい持たせる、などと色々余計なことを考えないといけないし、この場合に後衛が死んだらとんでもない惨状になる。
とはいえ、テイルズで、回復魔法を使える後衛キャラが死んでも、(それで戦闘が窮地に立たされるとしても)それ自体は許せるのだ。
この違いはなんだろう。
回復キャラが死んでも、復活アイテムは皆が使えるから、そのような対応策があることによって許されているのだろうか。
また、スキルというのは、キャラクターごとの個性を表しているから個別に異なっていても良い、というイメージもある。
そうすると、【1】そのシステムがキャラクターの個性に依拠しているかいないか、そして、【2】そのシステムをキャラクター個別にした際に生じる不都合に対する他の対応策の存在、といったものがシステム設定に影響を及ぼしているのであろう。
【1】はゲームとリアルの兼ね合いという内部と外部の関連性に向けられた視点(リアルから見ればキャラごとにスキルが異なるのは自然だ)であり、【2】はゲーム内部の事情に向けられた視点(アイテムが共有できるならスキルが固有でも許せる)といえる。